日常ステッキ(転んだ先の知恵)

限りなく偏愛に満ちた音楽、映画、文学、アート、その他日常に感じる素敵な事柄、あるいは事象に関する覚え書

にくらしの手帖

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花森安治

花森安治
このかたをご存知?
素敵な方ですよね。
「暮らしの手帖」を知ってる方なら
だれもがそう思うはずです。
ぼくが花森安治という名前を意識したのは
展覧会でじっくりその軌跡を辿ってからでしたが、
ただ「暮らしの手帖」は
古本屋なんかでいつも目に留まっていましたね。
いつも装丁がいいなあ
イラストやカットがいいなあ
デザインがいいなあ
そう思っていたのです。

あらためてじっくりみてみると
時代の息吹というか
なんていうんでしょうか、
やはり昭和の空気を感じさせる文化というか、
デザインや広告には心がなごみます。
電化製品とか日常品も
今からみると斬新なんですよね。
手書きのグラフィック、文字だけの広告
リンゴの箱でつくった机と椅子なんて
素敵じゃありませんか?

とにかく「暮らしの手帖」というぐらいだから、
日常の基づいた事が中心なので、
勉強になることがいっぱいあります。
花森さんがこだわったのは
日用品から家電製品に至るまで、
広告の力を借りず、自らの手で商品をテストする、
つまりそうした身近さが国民の心を鷲掴みしたんでしょうね。
それが「商品テスト」と言うやつで
衣食住における人々の意識への
憎らしいほどの喚起力があります。
ロハス」の先駆けなんていわれ方しますが、
暮らし、あなどることなかれ、
すべてはここから始まっているだなあと思いますね。


ベビーカー9種をテストする

ぼくは仕事柄、というか,
もともとデザインされたもの
グラフィカルなもの
イラストなどが大好きでした。
でも本当に好きなのはこうした感性なんだと
改めて思うのです。

植草甚一のコラージュや
堀内誠一のイラストや絵本,
山本容子の銅版画
成瀬巳喜男の映画、その中のオープンセット。
そしてこの花森安治
最近のデジタル表現も好きですが
ヒューマンでアナログチックな
とりわけ手仕事の感触、
肌触りに惹かれてしまうんです。

むかしなら,ぼくのような不器用ものは
ゼッタイにその道からはお呼びでなかっでしょう。
いまのようなコンピューターがない時代
厳しい職人たちの時代では、
おそらくすっとこどっこいの唐変木だったことでしょう。
だから、文明には感謝しかないのだけれど、
やることは同じはずだけど
そこにたどり着くまで手間暇がかかるということが違うんだなと。

それでもぼくは憧れますね、小僧からはいあがる職人
アルチザンと言うものに。
そして親方から日々叱られながらも
雑用をこなしながら
遠い未来の日々を夢みながら
一歩一歩少しずつ形にしてゆく気の長い世界、時間のなかで
確かなものを残しながら暮らしと共に生きていく。
そういう仕事っぷりにね。

美しいものは、いつの世でも
お金やヒマとは関係がない
みがかれた感覚と、まいにち
の暮らしへの、しっかりした眼と、
そして絶えず努力する手だけが、
一番うつくしいものを、いつも作り上げる
1世紀1号「自分で作れるアクセサリ」1948