日常ステッキ(転んだ先の知恵)

限りなく偏愛に満ちた音楽、映画、文学、アート、その他日常に感じる素敵な事柄、あるいは事象に関する覚え書

我が家の秋のアンビエントミュージック定番セレクション

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イーノのアンビエントシリーズについて触れたついでに
といってはなんだが、
深まる秋の気配に乗じて、
日頃ヒーラーとして大いに世話になっている
アンビエントミュージックセレクションを書いてみたい。

もともとアンビエントへの思いは強いが
時代とともにアンビエントの形態にもずいぶん変化が見られる。
一口にアンビエントといっても音の形状、
雰囲気はそれぞれに異なるものだ。
また、アンビエントという定義からはみ出すようなものもあるかもしれない。
もちろん、心地よさ、快適な音響、
そして日常の精神への作用を含めて
長年にわたり親しんできた音の処方箋といってもいいものばかりであることには変わりはない。
秋の夜のお供には最適だと思われるものを主体に
選んでみよう。

ちなみに夏に一度チルアウトミュージックセレクションを書いたのだが、
果たしてそれとどう違うかと言われると返答に困るのである。
一応、定義としては、秋の夜長に聴くアンビエント
ということにして、なるべく前出と被らないようには
セレクトしようと思う。

*FRIPP&ENO :EVENING STAR

イーノとといえばフリップ。
この二人はセットだ。
一度スイッチが入れば偏執狂的ギターサウンド
うねりをあげるところだが
こちらはフリパトロニクスを駆使したどこまでも優しいサウンドである。
やはりこの大御所二人の相性は抜群だ。

イヴニング・スター 2008リマスター・ヴァージョン(紙ジャケット仕様)

イヴニング・スター 2008リマスター・ヴァージョン(紙ジャケット仕様)

 *David Sylvian : Gone to Earth

1枚目には歌ものがフィーチャーされ、
2枚目には明らかなアンビエント色の濃いインストが収録されたシルヴァアンのソロ二作目は二枚組。
なので、ここでは二枚の方を取り上げてみたい。
テーマは自然回帰とでも言えばいいのか。
その曲名、タイトルからも伺える。
シルヴァアンの叙情的なミニマルギターに
フリップのフリパトロニクスがソロを取り
じわじわと静かに盛り上がってくる内容で
静謐ながら、どこか強い生命感の躍動を感じる。
当時グルジェフの思想に傾倒していたというデヴィッドの
宗教観のようなものが色濃く反映された
全体的に非常に内省的なサウンドが展開されている。

Gone to Earth (W/CD)

Gone to Earth (W/CD)

*Steve Hillage:Garden Of Paradise

非常にイマジナリーでサイケデリックサウンドで、
夢見がちなエレクトロニクスを駆使した音の万華鏡といった世界が展開されている。
元ゴングのスティーブ・ヒレッジ。
元祖アンビエントテクノとの呼び声も高い。
ジ・オーブのアレックス・パターソンが
クラブでこの音楽をかけていたことから交流が始まったという。
その意味でも、80年代以降のテクノ、アンビエントシーンにおいて
先駆けとして、重要な位置付けのアルバムだと言える。

Rainbow Dome Musick

Rainbow Dome Musick

*細野晴臣Mercuric Dance

アンビエントの大家、日本にはこの人がいる。
このアルバムはどこか地味で
細野アンビエントの中でもあまり知られていないアルバムかもしれない。
水脈を辿った錬金術パワーはマーキュリーに象徴され、
そうした息吹が静かに脈打つアルバムで
どちらかと言えば精神性の強い音楽に思える。
当時、交流の深かった中沢新一の影響もあるのだろう。

 *Susumu Yokota:SAKURA

アンビエントだけのくくりでは紹介しきれない
ヨコタススムのアンビエントアルバム。
時節は真逆だけれど、いつ聞いていも新鮮で
発見のあるエレクトニクスを駆使した創造的なアンビエント作品になっている。

Sakura

Sakura

 

*久保田真琴: SPA ASIA

久保田真琴の、夕焼け楽団とは一線を画する
このヒーリングシリーズはどれもが素晴らしい。
単なるメディテーションミュージックでもなく、
一本の映画をみているような、
そんな感覚に引き込まれるストーリー性が魅力的である。公的にも私的にも、玄人受けする選曲である。

スパ アジア

スパ アジア

*Boards of Canada : The Campfire Headphase

スコットランド出身のボーズオブカナダ。
マイケル・サンディソンとマーカス・イオン兄弟のデュオ。
アンビエントといってもエレクトロニカ
ヒップホップなど様々なジャンルの融合が昇華されたアルバムで
強く映像的なものを感じさせるのがボーズ・オブ・カナダの特徴か。

*Manuel Göttsching : Inventions for Electric Guitar

アシュ・ラ・テンペルのリーダーでもある
マニュエル・ゲッチングのソロアルバム。
ギターのオーバーダビングを駆使して電子音とともに
ミニマルな音風景が展開される。
やがてテクノハウスの創始者として名をあげることになろうとは・・・

INVENTIONS FOR ELECTRIC GUITAR

INVENTIONS FOR ELECTRIC GUITAR

*Fennesz : Endless Summer

秋だというのに終わりなき夏の音とはこれいかに?
気だるくそしてとんがった音の形が見える。
アンビエントの新しいカタチなのかもしれない。
クリスチャン・フェネスのフォーキー・エレクトロニカの傑作アルバム『Endless Summer」。
音そのものに季節感が宿っているのは否定しないが
秋に聴いてもその良さは変わらない。
グリッジノイズの向こう側から
哀愁のギターメロディが聞こえてくる。
これぞランボーが叫んだ太陽とつがった海のような音楽なのかもしれない。

Endless Summer by Fennesz (2006-12-02)

Endless Summer by Fennesz (2006-12-02)

 *高橋悠治エリック・サティ:新・ピアノ作品集

最後はちょっとアンビエントというイメージから離れるかもしれないが、
家具の音楽を提起した元祖アンビエントと言えなくもないサティの楽曲を、
日本でのサティ第一人者高橋悠治のニューレーコディングで〆たいと思う。
かつてあれほどまでにサティブームが吹き荒れたものの、
今はちょっと飽きられてしまったか。
いや、そんなはずはない。
というところで、ここにはサティ愛好家ならずとも
良質な耳を持ってさえいればきっとその優雅な音に前に
ひれ伏すことは間違いあるまい。

そんなわけでサティ。
やっぱりいいのだ。

エリック・サティ:新・ピアノ作品集

エリック・サティ:新・ピアノ作品集